を、思い起こされることがしばしばある。判決は軽すぎると被害者は言うがなどを前句から連想する一方、嫌疑が晴れて爽やかになり、心機一転の人の生き方を捕えた後の句、私はどちらに点を入れようかと迷った。
枯野茫々煩悩捨てる橋さがす
煩悩をゆっくり抜けて髪洗う
異なる課題で作られた句ではあるが、煩悩を捨てる場所を探す人間性と、悟りを得て髪を洗う爽やかな女性らしい心理の描写の何れもが優れた点を持つので、選句に悩まされた。
立ち上がるチャンスヘ溜めている時間
バージンロードそれから長いながい橋
カタカナ語を使った候補作はこの二点だった。高齢の川柳人はカタカナ語がにが手だと敬遠する人が多い。川柳作品がパソコン、インターネットで見られるようになった昨今、好むと好まざるにかかわらず、学び会得して行きたいものだ。あげた二句の中でバージンロードに新鮮味を感じたが。長いながいと重ねた表現も確かである。
日本からオムツが消えた日本晴れ
日本も日本語も好き日本晴れ
表現の巧みさは日本を三つ用いて軽妙である。候補作で固有名詞を使ったのはこの二句だけだが、一読明快調の川柳味も評価しよう。大臣奨励賞とか、大会賞とかに選ばれる句には、行儀のよい堅苦しい教訓調が多いのではないかと、ある席できつく一言われたことがある。
平成柳多留、国民文化祭、日川協全国大会など全国的なスケールの大きいイベントを働いているのだろう。主催者、後援団体の都合で県や地方都市の文化祭川柳大会などにもその傾向はあるだろう。グループや川柳結社など一つの信念主張をもったイベントと異なるものはある。俳句、短歌界でも伝統、現代と抽象、具象があり、同じような柔と硬、野性と正調について意見が戦っている場があるようだ。
ハッキリしない方がいいか
山田良行
川柳ってどんなもので、どういうふうに作るものかと聞かれてもハッキリと答えられる人は少ないかもしれない。でも、全国各地で行われている川柳入門のカルチャーだとか、書店の棚に僅かながら並んでいる入門書には書いてある。私も少し書いて本の巻末に綴ったことがある。
いろいろな柳人が、いろいろな川柳についての意見を述
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